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郷田三郎(G3)
郷田三郎(G3)
novelistID. 29622
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カガミノカギ

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 慣れて来たので家の外に出てみたが、驚いた事にそこには誰も居なかった。夜中だったので、もともと人出は無いのだが、煌煌と明かりをつけたコンビニにさえ人影は無かった。
 新しい発見は、コンビニのガラスケースを覗いてい時に、ガラスの向うで若い女の恐怖に引きつった顔を見た事だ。どうやら表の世界からは俺は鏡の中に居る幽霊のように思われてしまうらしい。

 そうして俺は夜な夜なカガミの世界を探検し、いろいろな事を学んでいった。
 ・カガミであればどこのカガミでも出入りが出来る。
 ・カガミを正面から覗くと外の世界を見る事ができる。同時に外からも俺を見られてしまうが……。
 ・音は全く遮断されている。
 ・カガミの中ではあらゆる鍵が開いていて、どこにでも自由に出入りができる。
 ・人間や生き物は居ないのだが、自動車等の乗り物までも全く存在しない。
 ・食べ物等はイミテーションの様である事。
 ・俺が触れていれば何でもカガミの中に持ち込める事。そしてそれは鏡の中に置いてこれる事。
 ・中では外よりゆっくり時間が流れる事。中に一時間居ても外では五~六分しか経たないのだ。

 つまり、何らかの犯罪を察知した俺は、外から持ち込んだ自動車などで、通常の約十倍のスピードで駆けつけ、犯人の死角にあるカガミを通リ抜けて思いもよらぬ攻撃を仕掛ける事が出来る訳だ。

 ふと思い立って家のガレージに行ってみると、ボロい小屋の中に時速三〇〇キロメートルは出るであろう超高級スポーツカーと、二輪のモンスターマシンが違和感たっぷりに置かれてあった。
作品名:カガミノカギ 作家名:郷田三郎(G3)