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日常の非日常

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弱点



 妹は、痛みに極端に弱い。陣痛があって病院にいったあと、分娩室から出てきた、今、看護士さん、昔、看護婦さんに、
「痛みに弱いんですか? そんなに痛くないはずなんですけどねぇ・・・・・・」
 と、言われ、そんな主観的な話を、感じてない他人に言われても・・・・・・と、思った。いや、他人ではなく、家族なんだけどね。実際、痛みというのは、受け止める側の主観以外になくて、ワタクシは、歯医者に行って、「はい、おわり」といって、立ち上がったときに椅子がべっとりと汗で濡れていても我慢できるぐらい痛みには強い。
 でも、痛いときは、脊髄反射的に体は動くから、お医者さんも分かりそうなものだけど・・・・・・。
 そこは、阿吽の呼吸で、痛くない方法をとってほしいよ。お医者さん。

 そんなワタクシの最大の弱点は、痒み。こればっかりは、駄目。
 蚊に刺されたら、皮がむけて肉を掻き毟るぐらいに我慢できない。
 ガラスの十代には、それぐらいの傷跡、二、三日で、綺麗に直っていたのに、最近は、くっきりと傷跡として残るようになった。オニャノ子としては、あまり美しくはない。
 モノの読み物によると、痒みというのは、痛みの最弱の刺激らしく、痛みと本質は同じなのだとか? この刺激が大きくなると、「痛み」として感じられるらしい。
 でも、かゆい。
 かゆいと、手がワキワキしてくる。一度、かゆいと思ったら、もう終わり。頭の中が「痒い」一色に染まって、もう、痒い痒い痒い。としか考えられなくなる。

 一週間ほど前に、インフルエンザの予防注射をしてきた。
 毎年、インフルエンザの注射をすると、ものすごい勢いで腫れ上がり、痒みと痛みが熱を持ってくる。
 そう。「痒い!」のよ!!
 それでも、熱を持って痛みがあるときはまだまし。これが熱が取れて、腫れが引いた時の、あの、痒みだけが残る苦悩といったら!!
「掻いちゃ駄目ね」
 ウインクでもされそうに、朗らかに看護婦さん、今、看護士さんに言われてるから、意地でも掻きたくないけど、痒いのよ!! もう、手だって、ワキワキしちゃうのよ!!
 そうして、一週間ほど我慢して、熱もなく痛みもなく、さらっと触っても違和感もなくなったころ、思いの限りを尽くして、掻き毟らせていただきました。すっきり。(2014.12.9)
 

作品名:日常の非日常 作家名:紅絹