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リ・メンバー

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 ぼくたちは携帯電話を買いに来た客と販売員という設定で、年齢のギャップで言葉がまったく通じないのに通じている振りをする、というものにした。このネタはみどりちゃんが作ってくれた。ぼくは本当に携帯電話に疎いのでありのままでいればよかった。

 商店街の古い顔なじみがたくさん来ていたし、なんといっても由美子さんや上の娘まで来ていたのだから本当に照れくさい。
 しかしみんなに笑ってもらってぼくはかなり気をよくした。
 しかもこのあと、ぼくに講演の依頼までやってきたのだ。依頼書を見ると、テーマは「歯の健康について」なのだが、小話付きという但し書きまでついている。これは大変なことになったと思いながらも嬉しくて仕方がなかった。

 ぼくは講演のレジュメができると張り切って小話をまとめた。月に一度ぼくが行っている高齢者施設でもこの頃は時間があると小話をすることがある。痛み緩和メモが役に立っているというものだ。
 みどりちゃんも誘って一緒にコントをやってもらうこともある。みどりちゃんは忙しいのだが、時間があると必ず来てくれる。みどりちゃんもコントを書き溜めていて、ノートをぼくに見せてくれたことがあるが、その相方はいつも僕になっている。これも実にありがたいことだ。

 聞いてくれている人の笑顔を見ると本当にそれがぼくの喜びになる。ぼくがこの生活をスタートできたのはイルカのお陰だと思っている。
 ハワイのジョンとスージーは、障害を持っている人だけのツアーを始める準備をいよいよ始めた、と平井さんが教えてくれた。
 平井さんにもとても感謝している。
 そしてもちろん、いつもぼくを応援してくれている由美子さんも娘たちにもこころからありがとう、と言いたい。
作品名:リ・メンバー 作家名:草木緑