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「あの、アスカ？」




　呼びかけにもアスカは全く反応せずに、俯いて手元の傘を見つめ続ける。




「あの人がタオル貸してくれたよ。これで体拭きなよ」




　その瞬間、盛大な溜息が響く。



　びっくりして顔を上げると、商品棚の向こうで女性が額に手を当て、頭を振っていた。



　次の瞬間シンジを睨むように見つめると、無言で彼を指差し、次にアスカを指差して頭を拭くような仕草をする。


　その意味を瞬間的に悟り、シンジは目を剥いた。



　早くやれ、とばかりに女性は何度も手を振る。



　シンジは諦めてアスカへ向き直ると、恐る恐る声をかけた。




「あの、拭くから……腕……かして？」




　そっと手をアスカの手首へ伸ばす。