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再び桜花笑う季(とき)

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私は、彼女の携帯を持つ手にそっと触れ、私を見た彼女にゆっくりと頭を振ってみせた。
「良くないわよ。」
彼女はそれに対して一瞬びくっと身体を震わせた後、口をとがらせて返した。
「俺が悪いんだ。君が事故に遭ったと聞いた途端、俺、後のことを何も聞かないで、電話切ったんだから。」
「翔子さんや穂波ちゃんの事を思い出したら誰だってそうなると思うわ。ねぇ、そがっちあんたも看護師なんだから、その辺のことくらい解かるでしょ?!」
そうだ、由美はそれが解かっていて、わざと全部を私には告げなかったのだ。縦しんばさくらが事故車両にいて、何らかの怪我を負っていたとしても、ただの知人であればここまでのリアクションは起こさない。私にとって、さくらが翔子と同じ位置づけを持つ存在だからこそ、ここまで取り乱したのだ。私は彼女から携帯を取り上げると、
「曽我部さんありがとう、おかげで解かったよ。」
と由美に告げた。
「ようやく解かったの?どういたしまして。お礼なんて要らないわよ。」
由美はたぶんにやにや笑っているのだろうなぁと思われるような口調でそう返した。
「松野さん、そがっちにお礼なんて良いわよ!つけあがるから!!」
さくらは私の台詞の本当の意味は解からないだろうから、そう言って私からまた携帯を取り上げると、ひとしきり由美に文句を言い続けたのだった。

穂波、ゴメン…パパは、やっぱりこのお姉さんが好きなんだ−
さくらが由美にぶつける文句を聞きながら思っていたのは、そんな娘に対する詫びの言葉だった。