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母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~

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 そしてそんな事があった次の日のこと。
 朝、何気なく新聞を読んでいて、そばに置いてあった市広報が目に入った。それをさあーっと流して読んでいて、ふと気になる項目を発見した。
『里親制度』
 子供に恵まれない、もしくは何らかの事情で子供を欲しがっている夫婦に、市役所が仲介者になって子供を紹介してくれるシステムらしい。
「これだ!」と感じた私は、急いで市役所に行った。
 相談窓口に行って事情を話すと、
「本当は養子縁組みをするのが本来なのだけど……」と言いながらも、
「一組、女の子が欲しいと言う方がいるので聞いてみましょう」
 と、言って貰えた。
 すぐに連絡が取れるかどうか分からないので、その日は一旦自宅に戻って市役所からの連絡を待つことになった。
 市役所の人の話では、その一組の人というのは針灸院を営む人で、一人男の子はいるけれど、もう一人女の子が欲しいということらしい。養子縁組みをするわけではなく、一時的に預かってもらうだけなのだけど、それでも良いと言ってもらえるだろうか? 返事が来るまでがとても長く感じたが、実際には二、三日後だった。市役所からの連絡をもらって、取り合えず一度会ってみたいとのことで、菜緒を連れて一緒に行くことになった。

 約束のその日は、よく晴れたお天気の良い日だった。私と菜緒は、指定された時間通りに市役所に行き、市役所の人に伴われてその針灸院を訪ねた。
 菜緒を気に入ってもらえるだろうか……?
 菜緒はなついてくれるだろうか……? 
 不安だらけだった。しかし運を神に任せるしかなかった。
 もしダメだったら……、私には前も後もなかったのだから。