母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~
――こんな時、母が生きていてくれたらなぁーと、思ってみたところで生き返ってくれるわけでもなし。やむなく私は仁ちゃんに相談してみた。別れたとは言え、ちょっと前までは夫婦だったわけだし、菜緒のことも可愛がってくれていたし……、と思ったが甘かった。あっさりと断られてしまった。もう頼める人がいない。かと言って、菜緒を放って入院なんかできない。私は成す術もなく、人生の無情を感じた。そして散々考えたあげくあることを決め、そして菜緒に言った。
「菜緒……、お母さんと一緒に死のうか……?」と。
その時の私には、他に方法が見つからなかった。
しかし菜緒の返事は、
「菜緒死ぬの嫌だ! お母さんも死んじゃ嫌だ!」
そう言いながら泣いて怒った。
私は何てことを言ってしまったんだろう。まだ三歳にもならないこの娘に……。そしてこの幼い娘に諭されるなんて、何て情けない親なんだろう……。
もしもこの時、菜緒が「うん」と言っていたら、近くの大きな川に一緒に身を投げようと考えていた。
私は菜緒を抱き締めて泣いた。
「ごめん、菜緒……」
私は母に育てられたのは僅か六年間だったが、その時からは、娘である菜緒によって育てられたのかも知れなかった。
作品名:母から私 私から娘へと ~悲しみの連鎖~ 作家名:ゆうか♪