不倫ホテル
「私の旦那はこの前バーで一緒にいた父。本当は父じゃないの。ずっと歳が離れた旦那さん。彼が私の夫なの・・・。25歳も離れているわ・・ずいぶんよね・・・」
どこかでそんな気がしてたが、目の前で言われて驚いた。
紗枝子の暗い顔を思い出した。今は見えないが暗闇できっとあの暗い顔をしているんだろう。
「ホントにファザコンかもしれないけど、ずっと本気で愛してたの。今でもそう・・。5年位前からセックスできなくなり、彼、私のことを想って「不倫してもいいんだぞ」って言うの・・。
出来るはずないじゃない、そんなに簡単に・・。いつだったか私が、彼の目の前で若い男の子と仲良く話していたら嫉妬して、感じちゃったらしいの。それ以来、彼の要望で若い男の子と彼が覗いている所でキスしたり・・・した」
僕は最初にデートした時、駐車場で誰かに見えるように紗枝子がキスしてきたのを思い出した。
「優のお店に行ったでしょ。彼と二人で。あの時は彼がセックスを許せるか判断しに行ったの。バカでしょ。でも、彼にとっては真剣な問題だったわ。自分の若い時に似てるって言って「紗枝子頼むから僕の目の前でセックスしてくれないか」と頼むの・・。冗談だと思ったけど彼のお願いに負けたの。私も優は一目見て嫌いでなかったわ。どちらかというと好きなタイプ。だから、この部屋で優と寝たの・・」
僕は紗枝子の言葉の一つ一つが重かった。信じられないことが起きていた。
はっと気づき
「どうしてこの部屋なんだ?」と聞いた。
紗枝子は起き上がり、開いたカーテンの向こうを指差した。
光箱のビジネスビルがいくつも並んで輝き、美しい夜景だった。
背の高いマンションも見られた。
あの、どれかの光の中から僕らの部屋を覗いてるって事なのか・・・信じられない・・