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紗の心

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暑さと、急な高揚に貧血でも起きたのだろうか。
少々、頭がぼんやりふらつく。
(あ、駄目だ。このままではいけない)
「佐伯さん」
意識の向こうのほうで、その人の声を聞いた気がしたが、その後のことは覚えていない。

私は、眠ってしまったようだ。
目が覚めた時には、裸の体にタオルケットを掛けてあった。
「お目覚め?もう大丈夫ですか?」
「紗希さん、私は、どうしたんだろう」
「抱いてくださって、急に眠ってしまわれたように。驚きました」
「なんかこう、ぼんやり眠くなって」
「お疲れだったのでしょう。はい、お茶」
私は、喉の渇きを感じ、一気にそのお茶を飲み干した。
「これは?」
「お茶ですよ」
(あれ?さっきと違うのか?きっとお茶の種類が違うんだ)

カーテンの隙間から外の様子が見えた。もう夕暮れをとうに過ぎている。
いやこの日の長い時期にもう暗いではないか。
時計を見た。
「私は、どれくらい眠ってたんでしょう」
「無理にでも起こたほうが良かったでしょうか。気持ち良さそうに眠っていらしたし、
お加減が悪いなら休まれたほうがいいと思って。ごめんなさい」
「いや、紗希さんが謝ることじゃない。迷惑をかけたのは、私のほうだ」
「紗希さんは、大丈夫?その急にやめちゃって」
「ええ、ご心配なく」
「じゃあ、こんなことになって申し訳ないけど、着替えたら帰ります」
「はい」
私は、着替え終えると、玄関を飛び出した。
営業車に乗り込むと、会社へ電話を入れた。
「直帰したかと思ったよ」と同僚が元気に話すのを聞いて安心した。
私は、会社に車を置きに戻り、帰宅した。

また私は、『秘密』ができた。

作品名:紗の心 作家名:甜茶