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紗の心

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翌日は、久し振りに揃った家族で墓参りへ出かけた。
少し曇り空で、炎天下を避けることができ助かった。
夜は、息子と少し飲んだ。
未成年の息子の方は友人と約束があると出かけて行った。
社会人になった息子の話はなかなか面白く、「そんな上司がいるのか」などと
エピソードや体験を話した。
学生時代、結構、意見のぶつかり合いをした息子が、いい話し相手になってきた。
子どもの成長が嬉しく思えた。
妻もいつもより多めの料理を作り、私となら作りもしない、息子たちの好物を嬉しそうに食卓に並べた。
話の流れで、息子が付き合い始めた子がいることを明かした。
妻は、はしゃぎながらも、寂しそうだ。
いつか、妻とふたりの暮らしになっていくのか。

翌朝、その息子も自分の住まいへと帰って行った。
妻とふたりで少しドライブへと出かけた。
暑い外とは違い、エアコンをかけた車内は快適で、妻は助手席でお菓子を食べている。
私も、ひとつふたつ摘んだが、混んだ道を注意しながら走るのに気を遣った。
特別、話をするわけではない。
私が声をかけないと、言葉が返ってこないほど私は運転手だった。
「楽しい?」
「すごく楽しい。混んでいて 崇さんだけ運転大変だけどごめんなさい」
はしゃがないのは、私を気遣ってのことだろうか。
夕方、帰宅したが、途中で食べたあれこれで夕飯は要らなかった。
それでも、風呂上りには、冷えた缶ビールを出してくれた。
「お疲れ様」

作品名:紗の心 作家名:甜茶