小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

紗の心

INDEX|40ページ/101ページ|

次のページ前のページ
 

「女は、強いですね。貴方も奥さんが居るからそう思われることがあるかもしれませんが、僕が病院泊まりが続いても文句を言うどころか、
『ちゃんと治してあげてね。家(うち)の事は大丈夫だから』ってどんと構えてますし、
この計画でも『あの子は、妾なんだから 時々は、キスくらいしないとばれるわよ。
ただし、おでこかほっぺ。ほっぺは口から3センチ以上離れたところまでね』
なんてところまで指示されて」
「失礼ですが、私に怒鳴った貴方とはずいぶん違いますね。でも彼女は毎月支払いに
来てるでしょ」
「あの人が支払う医療費は、必要な経費と彼が望んだ処置のほかには当てられず、
会計から受け取り家内が管理してます」
「そんなこと・・じゃあこの病院は、みんな知っているんですか?」
「それは、ない。他言はいつ漏れるかわからないですからね。家内の実家だからできる
ことでしょう」
その男性は、いい人な気がしてきた。
「家の手配の一部も月々の妾の生活費としてもその中から出しているようなので、
実際は、僕にはさほどの負担はないです。あの人が、楽しいことをして寂しくならない
ようにしてあげたいと僕も家内も願っています。ですから、貴方があの人の周りで
ちょろちょろしていると良い縁が逃げてしまう。早く別れてください」
(おいおい、話の結末はそこなのか・・)
「ずっと、嘘をついたままでは、彼女は」
「本当に幸せな相手が見つかった時には、真実を告げ、預かったものはあの人に戻して
あげようと、彼の思いも全て」
「そ、そんなの。たぶん無理だ」
その男性は、腑に落ちない顔つきで私を見た。

作品名:紗の心 作家名:甜茶