有明バッティングセンター【前編】
「そうか、俺は昨日、夜中の2時に帰ってきてそのまま寝ちまったからなぁ。」
「そっちは凄い人だかりになってる様ですね。テレビの生中継が行ってるみたい
っすよ。」
それでやけに外が騒がしいのか。
「そうそう、とんだ営業妨害だぜ。これじゃあ、商売上がったりだよ。」
そう言うと俺はどうしたもんかと、カーテンを少しめくって外の様子を確かめた。
(・・・そうだ!いい考えがある。)
俺は、名案を思いついた。
人間、追い込まれれば何かしら思いつくもんだ。
「そうだ、浩二、センターの鍵持ってたよな。」
「うん、1校の練習のために預かってるっすよ。」
「お前を、センターの支配人に任命する。」
「へっ、なに言ってるんすか?」
まったく鈍いやつだな、と苦笑しながら言った。
「わかんねえのかよ、鍵持ってすぐ来い。お前が開店するんだよ。」
「それって、センターに就職させてくれるってことっすか?」
やっと全てを察したかのように、明るい声を出した。
「おう、そうだよ。俺がセンターに出たら、いろいろめんどくせぇことになるか
らな。今日からお前は有明バッティングセンター支配人兼、俺のマネージャーだ。」
「本当っすか? 信じられないっす! 僕、一生懸命頑張ります!」
(おう、がんばれ、がんばれ、まぁ、しばらくは給料やれねえけどな・・・)
「それでだなぁ、マネージャー、ひと段落したら、コンビニに行って、魚肉ソー
セージと缶ビール買って・・・」
「プー、プー、プー・・・」
(・・あのやろう、切りやがった。)
作品名:有明バッティングセンター【前編】 作家名:ohmysky