有明バッティングセンター【前編】
「ズバン」
「ストライーク!」
あっという間にボールはキャッチャーミットに収まり、アンパイヤが叫んだ。
(こりゃ、どうしたんだ? 全然見えねぇ。)
俺はあせりにあせった。ここに来て頼みの綱の動体視力とそれに連動して動く俺
の反射神経がその機能を完全に失っていた。
(そ、そんなはずはない。)
気を取り直して、バットを構え直した。
ニヤっと笑う三浦。
今度は、ノーワインドアップで、速球を放った。
「ズバン」
「ストライーク! ツー」
またしても全然見えない。まったく手を出すことが出来ず、ボールが通り過ぎる
のを呆然と見送るしかなかった。
3球目。
「ズバン」
「ストライーク! スリー、バッターアウト!」
結果は同じだった。
作品名:有明バッティングセンター【前編】 作家名:ohmysky