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有明バッティングセンター【前編】

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1軍練習用グラウンドには、既に2軍の主要メンバーが守備配置に付いていた。
ピッチャーは、三浦義弘。彼はもともと1軍スタメンだったが、今シーズン中盤
で太ももに軽い肉離れを起こし、2軍で調整を行っていた。先発ローテーション
に組み入れられる程の実力の持ち主であり、多彩な変化球と時速160kmを超
える速球を武器としているピッチャーだ。みんな不服そうに、グラウンドに向か
う俺に視線を集めていた。

「おいおい、本格的じゃねーか。 いじめかよ。」

俺がそうつぶやくと。

「実戦形式っていったでしょ。」とエレーナ。

もう、後には引けない。いやでも心臓が高鳴るのを感じた。バット立ての中から
自分にあうバットを念入りに探す。高校野球では、金属バットなので、木製バッ
トはあまり経験がない。もちろん、センターでも木製バットは置いていない。折
れるからだ。

(木製バットと金属バットでは、重心が微妙に違うな、ヘッドの回転速度は出せ
そうだが、真芯は金属バットより少し根元寄りか・・・。)

2、3度バットを素振りしながら、その特性を確かめた。軽く屈伸運動をしたあ
と、右腕だけでバットを2回振る。次は左腕だけで2回、スタンスは左のままで、
「ふっ、ふっ」と息を吐きながら、腰を先に回転させ、繰り返し順番に振ってい
く。うっすらと額に汗が滲んできた頃、やっとバットを両手で握り、頭上に掲げ、
体全体を大きく回転させて円を描く。親父がいつもやっていたこの準備運動を俺
もいつしか自分のものにしていた。それからやっと通常の素振り動作に入るので
ある。時間が無いのか、司会進行役が時計を気にし始めたので、いつもより少な
めに準備運動を終えた。

左バッターボックスに立ち、軽くバットを1振りしてから、構えに入った。ピッ
チャーの三浦はスパイクで軽くマウンドの土をならしてから、ワインドアップ動
作に入っていった。同時に俺の目がスローモーションモードに切り・・・・
替わらない!!