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有明バッティングセンター【前編】

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俺達が、戦国武将、武田信玄の御弓番で流鏑馬(やぶさめ)の名人と謳われた、
有明将監の末裔であること。超人的な動体視力を持つ血筋を受け継いでいる事等
を雄弁に語っていた。

(俺自身の経歴があまりに貧弱なもんだから、フロント側もさぞ苦労しただろうな。)

仲人から、優秀な成績であーたらこーたらと紹介されている新郎の様な気分で雛
壇上で薄ら笑いを浮かべているしかなかった。

「それでは、質問お願いいたします。」

司会進行役が、報道陣からの質問を促した。

(いよいよ始まったぜ。)

エレーナが車の中で予言した様な展開にならない事を祈りながら、1人目の質問
を待った。

「有明さん、あなたはご自分が本当にそのような能力をお持ちだと自覚がおあり
ですか?」

「はい」と俺。行きがかり上、そう言うしかあるまい。

「いつごろからそうだとお感じになってましたか?」

「小学生の頃からだったと思います。そのときは、自分だけがそうだとは思って
いませんでしたが。」

「なぜ、プロ野球や、他のプロスポーツの世界を目指さなかったのですか?」

「それは、プロ野球を含め、スポーツ全般が大嫌いだったからでしょうね。」

会場がざわざわっとざわめいた。

(ん? やっちまったか?)

隣のエレーナが俺の顔を見て、自分の口に手を当て、大げさに「プッ」と噴き出
して見せた。それにつられ、報道陣もどっと沸いた。