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有明バッティングセンター【前編】

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「面白い方ね。」

エレーナは、俺にとびっきりの笑顔を向けながら、机の下で俺の太ももをギュー
っとつねった。

(いててて、・・・こえー女だ。)

会場がアウェーな雰囲気から一気に和んだ時、1人のスポーツ記者が核心に迫った。

「あなたが、そういった類の能力をお持ちだと言う事を、我々にどう証明しますか?」

いままで、成り行きを静観していた安田がすっと立ち上がった。

「当球団もそれを証明させて頂こうと考えておりました。本日、これから隣の1
軍練習場で、実戦形式の公開バッティング練習をさせて頂きます。その結果を見
て、有明氏と当球団との正式契約の有無について判断させて頂こうと考えており
ます。」

報道陣の間から「おおー」というざわめきが生まれ、特等席をゲットしようと、
カメラマン達が重いカメラを抱え、急いで会場を出ようと出口に殺到し始めた。

(あっちゃー。筋書き通りじゃないの。)

背筋をピンと伸ばし、微笑みを崩さないエレーナのこめかみに、汗がツーっと伝
わり落ちるのが見えた。