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有明バッティングセンター【前編】

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やっぱり今日は厄日だ。占いもそう言っている。後半のインタビューによって、
俺、有明一郎の人物像がフリップに整理されていた。

1.西大1校野球部 バッティングコーチ
2.有明バッティングセンター代表
3.元プロテニスプレーヤー 西村恭子の実弟
4.東京フライヤーズのスカウトマンに見出された天才打者
5.35歳 バツ1 独身 遅咲きのヒーロー

恭子がフリップを指しながら俺の人となりを説明している。

(バツ1は余計だぜ、姉貴)

俺は思わず苦笑してしまった。まったく姉貴らしい。
無名の有明一郎は、元プロテニスプレーヤーでスポーツキャスターの有名人、
西村恭子の実弟として紹介されていた。

○○○○のお兄さんとか、○○○○の弟だとか、そんな紹介をされる人気のない
無名な芸能人の気持ちが良く分かった。なんとも、空しい。続いて、甲子園決勝
戦で安藤雄太に耳打ちする俺の映像と、追い出しコンパで安っさんとスペシャル
ドリンクを片手にへらへら笑っている映像が映し出された。

(こうして見ると、単なるのんだくれ親父じゃねーか。)

自分では、まだ結構イケてると思っていたが、映像を通すとなんとも情けない。

(ちゃんと髭を剃っときゃ良かったな。貧乏くせぇ。)

「今日、午後1時から、東京フライヤーズの選手会館で緊急記者会見が行われる
模様です。」

恭子がこう締めくくった。