有明バッティングセンター【前編】
(お、俺のことじゃん。・・・・あれ?)
そこに見覚えのある顔が・・・・・実姉であり、スポーツキャスターの西村恭子
がそこにいた。
(あ、このコーナー、姉貴のなの? 知らんかった。)
そういえば、恭子が何時にどの番組をやっているかなど、詳しい話をしたことが
一度もなかったことを思い出した。
「えー、実はですね。この有明選手、私の実の弟なんです。」
コメンテーター達の、「えーっ!」というざわめき。
「先日、私は弟の有明一郎に電話し、単独インタビューを行いましたので、その
様子をお聞き下さい。」
VTR画面は恭子が携帯電話をかけるところから始まった。
「・・・もしもし」
俺の声だ。
恭子は、カメラに向かって親指を立て、ニヤリと笑った。
(おいおい、あいつ仕組みやがったな。)
時既に遅し。である。
「ちょ、ちょっと待ってよ。この電話録音させてもらってるのよ。独占インタ
ビューってことでよろしくね。」
「おいおいおい、勘弁してくれよ! 全部流すんじゃねぇだろうな。」
「本格的なインタビューはこれからよ。 タダって訳じゃないわよ。貸したお金
チャラでどう?」
「乗った!!」
こんな所まで全て放送されてしまった。
なんてこった!
作品名:有明バッティングセンター【前編】 作家名:ohmysky