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有明バッティングセンター【前編】

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「監督、是非お願いします。あいつはキャッチャーやってただけあって、配球の
読みは抜群です。それに、バッティングセンスというよりは教え方がうまいので
す。指導者向きだと思ってました。」

「コーチに異存おまへんのやったら、そうさしてもらいますぅ。おおきに。 こん
ど色紙もって寄らせてもらいますんで、サインたのんまっせ! それじゃ、ごめん
やすぅ。」

浩二の就職口が見つかって良かった。ただ、月5万じゃ、生活できないだろうな。
まぁ、実家の酒屋を手伝いながら何とか野球を続けられるだろう。

次の日、記者会見を明日に控え、前夜、何をしゃべろうかとまんじりとも出来なか
ったので寝不足の俺は、夕方までまるで夢遊病者のように朦朧としながらピッチン
グマシン4号機の最後の仕上げを行っていた。
最高速度、時速165kmの直球と時速163kmの高速シンカーを狙い通りの
コースへ投球できるまでに調整が進んでいた。この高速シンカー、早田大学へ進学
する安藤健太の決め球である。

(このシンカーを確実に捕らえられなければ、俺はプロで通用しない。)

そんな思いで、この特殊な球種の再現に挑んで来たのだ。
その時は、まさか俺がプロ野球からお呼びがかかるとは夢にも思っていなかった
訳だが・・・。