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有明バッティングセンター【前編】

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(これは微妙な調整だな。やれやれ、一難去ってまた一難か。金がありゃメーカ
の調整員を呼んでやってもらうところだが、如何せん、先立つ物が底を尽きてし
まっている。一休みしてからまた挑戦だ。)

先日開催したセンター主催の追い出しコンパで先行投資し過ぎた俺は、何もかも
自分でやらねばならぬ身の上だった。そういえば、今日はドラフト会議当日で、
テレビでその模様を中継する事を思い出した。

(もうそろそろ始まる時間だな、安田さんはどんな選手を選んだんだろう、浩二は
希望の阪神に指名されるだろうか。)

そう思いながら、油まみれの手を洗い、冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを
取り出して、汚れたタオルで顔の汗と汚れをふき取りながらおもむろにテレビの
スイッチを押した。

テレビの画面上では、神妙な顔つきの各球団フロント陣と監督がテーブルについて
おり、後方の壁一面には、指名選手表示用のモニターが球団の数だけ並んでいた。

(おっ、ちょうど始まるところだな、どれどれ、どんな奴らが選ばれるか拝見させ
て頂くか。)

ビールをすすり、魚肉ソーセージを丸かじりしながら、ランニングシャツ一枚で
テレビの前に鎮座した。

「さあ、今期のドラフト会議、いったい誰がどの球団に指名されるのでしょうか!!」

アナウンサーが興奮気味にドラフト会議の様子を伝えていた。

いよいよ1巡目のドラフト指名が始まった。
昔のドラフトと違い、事前に選手が希望球団を公表したり、球団とのすり合わせ
を実施したりしているのか、今はあまりかち合う事が無いように思える。

(どうせ出来レースだ。事前に話し合い済んでるんでしょうよ。一種のショー
だなこれは。)