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有明バッティングセンター【前編】

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試合は西大1校の先攻で始まった。
保坂のタイミングの掴み難いアンダースローから繰り出される変化球を打ち
あぐね、3者三振に切って落とされた。

「くそ!」

3番の浩二が悔しがりながら帰ってきた。

「おいおい、試合は始まったばかりだぜ。もう少しリラックスしたらどうだ。
俺が球筋を分析したらしっかり指示してやるから、それまで様子見と行こうぜ。」

俺の言葉にも耳を貸さず、スポーツドリンクのボトルを蹴り飛ばした。

(やれやれ、完全に舞い上がってやがる・・・)

その裏のイニング。我がエース、安藤健太の登場だ。
落ち着きはらったその立ち居振る舞いは、プロ選手を彷彿とさせる。
ロージンバッグを地面に投げ捨てるとゆっくりと大きく振りかぶった。

「ズバーン」

時速168kmのストレート。
野球場全体が「ドドーン」と大きな歓声で震えた。
健太はそんなどよめきも、何も無かったかの様に落ち着き払ってロージンバッグ
を再び手に取っていた。2球目、3球目と同じストレート、それもど真ん中の
剛速球で三振に切って取った。にわかにスカウトマン軍団が色めきたって何やら
メモを取り始めた。1回裏から球場全体が異様な興奮に包まれていた。

「ズバーン」

3人の打者を全てど真ん中の三振に切って落とした。

「ウォー!」

野球場がまるで人気バンドのコンサート会場の様に震えていた。