小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

有明バッティングセンター【前編】

INDEX|34ページ/123ページ|

次のページ前のページ
 

(これは、大変な事になってしまったな。)

握った手にじっとりと汗が染み出すのを感じた。
その後、両投手共に一歩も引かず、3者凡退の山を築いて0対0の9回表となった。

「ここまで両投手完全試合なんて試合、見たこと無いですわ。」

と監督の西脇が半ば興奮を抑えきれぬ様子で話しかけてきた。
ベンチ横に置いてあるラジオの実況アナウンサーが西脇と同じ様なことを更に
興奮した口調で繰り返していた。

「監督、これからが勝負です。球筋を分析しましたから、このイニングの采配は
俺に任せてください。」

好きなおもちゃを取られて怒りはしないかと、祈るような気持ちで俺はこう切り
出した。

「ほな、よろしゅう頼んます。」

予想に反して、あっけらかんと西脇は言った。
2番からのクリーンナップ。絶好の打線だ。最初の打者は例によって多彩な変化
球に翻弄され、三振に終わっていた。1アウトランナーなし。
ここから俺の采配は始まった。