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有明バッティングセンター【前編】

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「カキーン」

打球はピッチャ上をすごいスピードで飛び超え、ライナー気味でそのままセンター
の柵を越えていった。

「そうそう、それでいいんだ!」

思わずうれしくなって叫んでしまった。

「コーチ、なにを教えたか知らんけど、それは反則でっせ。」

と不満そうに西脇監督が言った。

(おいおい、遊んでんじゃないんだから。大人気ない・・・)

この男、とにかく野球が大好きで、本当に楽しんでやっているな。
その後も、俺の耳打ちの度に選手は長打を連発したのだった。

「安藤、ピッチャー交代や!」

ふくれっつらの監督が本業である采配という武器を使って、ピッチャーを自ら
健太へ交代させた。しかも、全選手が監督の球にタイミングを合わせられるよう
になった時を見計らって。

(絶妙な采配だな。これが「神様」と言われる所以か・・・)

エースの登場である。安藤健太。この男、高校生にしとくにゃもったいないほど
の野球センスの持ち主で、「超高校級」の投手であり、かつ4番バッターでもある。
こいつの球は手ごわい。なにしろ、ボールの回転が一定していないのである。
カーブ、シュート回転は見えなくても、投手のフォームから類推することが可能
だが、ストレート方向のボールの回転は通常、投手によってほぼ一緒で、球の落
ち方、延び方というのは投手の「指紋」の様なものだ。