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有明バッティングセンター【前編】

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彼の事は、健太たちから聞いていた。
西脇大悟、33歳、1995年のドラフト1位で投手として阪神ライダーズに
指名され、プロ野球入りするも薬物使用で逮捕され、プロ野球会から永久追放
されたのである。
「ろくなもんじゃねえ」と思っていたが、健太たちに言わせると「神様」の様な
存在で、その監督采配には高校野球の監督連の中でも一目置かれる存在だとか・・。

「あんた、おやっさんと同じ、(見える)タチの人なんでっしゃろ? ちょっと
打って見せてんか?」

笑った顔は、その顔の作りとは相反してとても愛嬌のある憎めないタイプの男で
ある。

「俺、ここに来てから一度も球打ってないんだよね。まだ調整中といったところ
かな。」

「もうそろそろええですやん。見したってや」

どうも憎めない。

「それじゃ、うまく打てるか分からないけど・・・」

「おっと、投球はわてにまかせてや」

・・・わてって・・・
西脇は、ススーっと踊るように操作盤の前に立ち、投球準備の体制を整えた。
「いきまっせー」子供がはしゃぐような甲高い声。
5、4、3、2、1、「シュッ」
スローモーションが始まった、ボールがシュート回転しながらゆっくりとこちら
に向かってくる。

(この角度で当てればあっちに飛ぶな。)瞬時に感覚的な閃きが脳裏をよぎる。