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有明バッティングセンター【前編】

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「カキーン」

音と共にボールがものすごい勢いでセンター方向に飛んで行った。

「ガーン、ガッシャーン!」

センター上方に親父が付けたホームラン看板を直撃し、弾みで看板が外れて
落ちてきた。

「すごい打球やね! ほな、次はレフト方向頼んまっせぇ」

益々はしゃいだ様子の声を発しながら、ボタンを押した。
5、4、3、2、1、「シュッ」
またもスローモーション。ボールは回転していない。
ボールは回転しないと、微妙に揺らぎながらやって来て、手元でストーンと
落ちる。

(難しい球種で、打球方向指定か。食わせ者め!)
思いながら、頭は忙しく回転し、軌道を計算する。

「カキーン」「ガーン、ガッシャーン!」

なんとか、お望み通りの方向へ打ち返し、看板を打ち落とす事に成功した。
我ながら、なんとついていることか! ラッキーだよ! まぐれだよ! いい
格好できたなー!

「有明さん、1校のバッティングコーチやってください! 頼んます!」
一転まじめな顔で突然頭を下げる西脇。

「えっ?」

この展開は予想してなかった。俺は、看板親父を目指していたのだから。

「仕事も忙しいし、ガキの相手なんて性に合わないね。」

精一杯見栄を張った。

「月5万でどうでっしゃろか?」

つ、月5万! ・・・・のった!

「や、やらせていただきます。お願いします」
まずは、食って行かなければならないのである。
こうして、西大1校、我が母校へのご奉公が始まったのだった。