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有明バッティングセンター【前編】

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(今日のエレーナちゃん。つめたいのね。)

受付嬢が、くすくすっと笑っているのが見えた。

(やれやれ、こりゃあ、将来は尻に敷かれるなぁ。)

まぁ、あの豊満で美しい尻に敷かれるなら、本望だ。そう思いながら、俺は軽快
に揺れる彼女の尻を眺めながら後に続いた。通された会議室には、安田と、古館
コミッショナー、フライヤーズ監督の原口というそうそうたる面々が座っていた。

「有明くん、今日は君との最初の契約交渉となる。今日で結論を出す必要はない
ので、良く考えてから結論を出して欲しい。当球団としては、君との長い付き合
いを想定し、将来君が負担とならない様な契約内容を望んでいる。昨今のマスコ
ミその他の風潮に左右されない冷静な判断を望む。」

冒頭、安田が、もっともらしい顔をして口火を切った。

(このー。たぬきおやじが。)

「私は、契約金は要りません。パート契約にしてください。完全出来高制でお願
いします。1ヒット20万で、ホームランは1本プラス100万でお願いします。」

古舘コミッショナーと原口監督はびっくりした顔でお互いを見合った。

「わっはっはっは! 君、面白いことを言うねぇ。完全出来高制とは、そんな契約
前代未聞だよ。マスコミが聞いたらさぞびっくりするだろうねぇ。君が打つ度に
獲得金額がスポーツ新聞に載る状況が目に浮かぶよ。」

安田の巧みな話術は、この契約により、球団が新たな話題を世間に公表し、集客
や親会社の新聞の売り上げにも直結することを暗に仄めかしていた。最初、訝し
い顔をしていた古舘と原口だったが、安田のコメントを聞くにつれ、なるほどと
いう顔つきで頷きあった。