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有明バッティングセンター【前編】

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「トゥルルルル、トゥルルルル」

事務所となった管理室のデスクの上で、新調したてのFAX機能付き電話機が鳴った。

「はい、有明バッティングセンターです。」

冬休みに入ってからは、その殆どの時間をこの事務所で過ごすまだ高校3年生の
木村浩二がまるで当たり前のように電話に応対した。

「あ、安田さん、お久しぶりです、はい、はい、そうですか、少々お待ちくださ
い。社長、フライヤーズの安田さんからっす。契約交渉に来て欲しいって。もう
そんな時期なんっすね。」

そういいながら、受話器を渡した。

「もしもし、お疲れ様です」

「おお、一郎くん、久しぶりだね。ところで早速だが、明日、球団のフロント事
務所に来れるかい?そろそろ、契約交渉を始めたいんだが。」

「ええ、かまいませんけど、安田さんとやるんですか?」

「そうなんだよ、今回は全権を私にまかせると先週、コミッショナーから聞かさ
れてねぇ。まぁ、球団も最後の花道だと思っているんじゃないかな。わたしも3
月一杯で定年だから。」

「そうなんですか、それで定年後は安田さん、どうされるんですか?まだまだ隠
居する年でもないでしょう。どこか当てでもあるんですか?」

「それなんだが、私を一郎くんの会社に雇ってはもらえないだろうか。今後、新
型マシンで発掘した人材の売り込みやらプロモーションやらでその筋の専門家が
必要になるんではなかろうかと思うんだが。」

「それは、願ってもない事です。ぜひ、お願いしますよ。」

俺のその言葉に、フランチャイズ契約書に目を通していた浩二がニヤッと笑った
のを俺は見逃さなかった。