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有明バッティングセンター【前編】

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「私は両刀よ! 他の人よりもちょっとキャパが広いだけなの!」

奥の部屋から、源ちゃんの野太い声が聞こえた。

「す、すいません!」

なぜか、謝ってしまう俺だった。しかし、北海道生まれのくせに、めちゃくちゃ
なナンチャッテ関西弁を話すあの西脇大悟の父親とは恐れ入った。

数分後、源ちゃんは、バットを3本抱えてニコニコしながら戻ってきた。

「一郎ちゃん。北海道にはね、バットの材料に最適なアオダモの木が生えている
のよ。私の曽祖父が植えてくれたアオダモ林が今の私の仕事を支えているわ。大
悟ちゃんに後を継いで欲しいんだけど、「いやでおます」とか言っちゃって、取
り合ってくれないのよねぇ。」

そういいながら、3本のバットの曲がりを確認しながら、バットスタンドに丁寧
に立てかけて行った。

「さてと、青龍眼の一郎ちゃん。このバットを1本ずつ振ってみてちょうだい。」

さっき、耳元で、

「龍眼を持っているのね。」

と言われたのを思い出した。

「源ちゃん。その青龍眼ってなんなんですか?」

「自分の龍眼を知らないなんて、いやねぇ。龍眼というのは、普通の人が見えな
いものを見る事が出来る目の事よ。龍眼には、青龍眼と白龍眼があるの。青龍眼
は、動いている物を正確に捉える目、白龍眼は、動いていない物を正確に捉える
目よ。私は、白龍眼だから、青龍眼を持った人を見分けることが出来るわ。だっ
て、動かない物を正確に捉えることができるんですもの。でも青龍眼の人は、自
分が青龍眼だって事にも気づかないのね。だから、白龍眼あっての青龍眼なの。
私の方が偉いのよ。分かった?」

と、まるで、お姉さんが弟に説教するように、アロハシャツから出た細い腕を腰
にあてて、威張った。