moonlight(後編)
「無理なお願い?」
目を丸くしている未知流たちに、ネオは大きく頷き、
「うん。一週間でやるのは厳しいかもしれないけれど……新曲を作ろうよ! いつも通り、私が作詞で、みっちぃが作曲、そして絢都とタックンが編曲で!」
「ま、マジ?」
未知流を始め、絢都と巧も驚きを見せる。
「わたしはいつだって本気よ! ……この問題はきっと、自分の言葉じゃないといけないと思うの。もちろん、有名アーティストの楽曲のコピーもいいかもしれない。でもそれは、人の力を使ったという事実があるから、言い方が悪いけど、わたしたちの『気持ち』なんて一切こもってない。だったら、自分たちの『気持ち』を前面に引き出した、この世に一つしかない、『わたしたちだけの曲』を作った方がリアルに、実緒に届くんじゃないかと……」
ゴメンうまく言えないや、とネオは低い声で締めくくる。
こんなの無謀だよね。今まで普通に1、2か月かかっていたんだから。
やっぱり、といいかけたその時、
「ネオ」
未知流がネオの前へと歩み寄る。
そして、ネオの両肩に手をかけ、
「いいよ」
と静かに告げた。
仲間の答えにネオは思わず、
「いいの?」
と訊きかえす。
未知流は無言のまま、うん、と頷く。「それが竹下さんに伝える一番の方法だよ」と言っているみたいだった。
そして後ろを振り向き、
「絢都、ター坊もそれでいいね!?」
未知流への返答に、「うっス!」と絢都、「はい」と巧。
「よし、決定!」
未知流は改めてネオの顔を見つめ、
「作ろう! あの子に届ける歌を!!」
「うん!!」
「よし! それじゃあ活動を始めるから、各自準備!」
三人は楽器を取り出し、準備に取り掛かった。
彼らの背中を見て、
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ