moonlight(後編)
ネオは『ワガママ』というワードに引っ掛かり、
「わ、ワガママって何よ~!?」
不満げな表情で絢都を見返す。
「そのままを言っただけですよ! いっつもオレたちに何も言わずに、選曲も決めたり、選曲が合わないものだって、意地でも入れようとするし……ワガママ以外の何物でもないじゃないっスか!」
「なにを~!」
両者の間に見えない火花が散る。
しかし、
「喧嘩をしている場合じゃないだろ!!」
と未知流に押されて、お互いの額をゴツン! とぶつけられる。
「いったぁ~い!」とネオ。
「……って~」と絢都。
「全く、あんたたちは……」
はぁ~、と未知流からため息が漏れる。
「と・に・か・く! 時間がないんだ! とっとと彼女に届く曲は何か、考えるよ!!」
命令するかのように、右手を勢いよく振り払う。
「うーん、そうは言ってもですねぇ~。ネオ先輩の気持ちを伝えられるドストレート曲っスねぇ……」
腕組みしながら考え込む絢都。
「急に言われましても……」
目を瞑って、顎に手を当て、う~ん、と巧は呻く。
「そうだよねぇ……ウチらで作ったので当てはまるとしたら、『wind』とか『dash!!』 とかだと思うけど 、疾走感のある曲ばっかりだからねぇ~」
天井を見上げる未知流。
「ですよね。バラード系とか作ってないっスから……」
「コピーするしかないのかねぇ~」
う~ん……。
三者三様のポーズで悩んでいるところに、
「ねぇ」
ネオが三人に声をかける。
三人は彼女を見つめる。
「提案があるの」
「どうしたのよ。改まって」
「ちょっと、無理なお願いを今から言うけど、いい?」
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ