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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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 未知流に深く頷く。もう迷いはない、と。
 彼女はネオの両肩を再びがっちりと掴み、
「よーし、それでこそネオよ!! いや、ネオだけじゃない! あたし、ナル男、ター坊――moment'sの本気(マジ)の本気(マジ)をぶつけて、あの子の笑顔を取り戻して、あのクソ野郎の鼻をボッキボキにへし折ってやろうぜ!!」
「み、みっちぃ~気合い入れ過ぎぃ~」
 ヒートアップしすぎて、思わずネオの肩を揺らしていたことに気づく。
「あ、ごめん」
 ピタッ、と動きが止まり、手が離れる。目が回ったように、前後ろへ揺れた感覚が残る。
「もう~」
 ぷく~っ、とネオは顔を膨らませて友人を見つめる。
 その顔を見て、もう大丈夫だな、と未知流は思った。いつものネオだ。
 ハハハハハ! と思わず笑ってしまう。
 ネオも未知流の笑いにつられる。
 ネオの心が晴れてきたように、雨もいつの間にか止み、雨雲の間から希望の光が二人を照らした。
 未知流は、ん~っ、と背伸びしながら、
「さぁーてと! そうと決まったら、今日の練習から何とかしないとね。 まずはあの二人を説得するのは……なんとかなるけど、問題は曲だなぁ。こればっかりは話し合わないと。よし! 学校に戻るよ、ネオ!」
「う、うん……」
 立ち上がり、赤い傘をもって先に歩く未知流を見つめる。
 何か言わなくては、という気持ちが、彼女が先を行く度にどんどん強くなる。
「み、みっちぃ!」
 未知流に向かって叫ぶ。
 彼女はネオに背中を向けたまま、
「何?」
 と訊ねる。背中を向けても、微笑んでいるのが分かる。
「あ、あのね! 来てくれてありがとう。そして、ごめん……あたし、不器用で生意気だから、これからも素直に言えないかもしれないけど……わたしの友達でいてくれる? 頼っても、いい!?」
 友人に対して、言いたかったことを全て吐き出したかのように、ネオは長い息を吐いた。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ