moonlight(後編)
「ネオ!!」
未知流はネオの両肩を掴む。
「なんで、一人で考え込むんだよ! あたしがいるだろ! 一人で格好つけんなよ! 頼ってよ! 頼らせてよ! 友達だろ! あたしにも本気で言ってよ! あたしは頼りないっていうの!?」
未知流は、胸にため込んだ気持ちをネオに叫ぶように吐き出した。
ネオは口をぽっかり開いたまま、顔を覗き込む未知流を見つめる。
普段見せない顔だ。
「ごめん……あたし、ネオがここまで友達のことを、本気だとは思わなかった。こんなことになったのは、あたしにも非がある。その方が、ネオのためだって。その方が、お互い傷つかなくて済むから……」
「ううん! みっちぃの言ってることだって正しいよ!」
「違う!」
気遣うネオに、かぶりを振る未知流。
「あたし自身が、ネオが竹下さんに本気で接した結果、傷ついてしまうのを恐れていたんだ。そんなネオを見たくなかった! 友達として! いつも元気なあんたを見たいから! あたしの下から離れてほしくないから!」
「……」
両肩を締め付ける、未知流の気持ちが、痛いほどネオに伝わる。
「でも、その結果、あの子は最悪な方向へと言ってしまった。ネオの声も届かないほど……だから、そういう風にアドバイスしたあたしにも責任がある」
そんなこと……、とネオはぶんぶんと勢いよく首を横に振る。
「みっちぃのせいじゃないわ! 常に一緒にいて、気づかなかったわたしがいけないのよ!!」
「いいや! あたしがいけないの!!」
「いや、わたしだよ!」
「違う! あたし!」
未知流は立ち上がって、ネオを見下す。
「わたしだって!」
ネオも対抗し、立ち上がる。
お互い、自分の気持ちを譲らず、ぶつかり合う。
「あたし!」
「わたし!」
「あたし!」
ボクシングのようにラリーの応酬が続く。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ