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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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 と明るい口調で実緒は言った。
 そんな実緒をネオは誇らしく思った。あの雨の日に未知流が言っていた気持ちが、改めて分かった気がした。
 そして実緒は、先生との話し合いの結果、一週間後に復帰することが決まった。
この間にネオは、クラスメイト全員と実緒についての話し合いを放課後に開き、「実緒が学生生活に復帰できるような環境にしてほしい」と頼んだ。
しかし、それは杞憂であった。
 クラスメイトは全員その気でいたのだ。おとなしいけど、授業中に分からないところを教えてもらったり、話しかけたら話してくれるし、掃除時間でも細かいところまで見たり、気配り上手だし、とみんなそれぞれ、実緒に好感をもっていたのである。しかも、男子生徒にはファンもいた。彼らは、彼女のことをちゃんと見ていたのだ。
 ――これなら何も心配はないわね。
 一週間後。実緒が教室に入ってきた瞬間、クラスメイトは「心配したよ」「大丈夫?」と声をかけ、彼女は気持ちよく学校生活に復帰した。

「――ネオちゃん、軽音楽同好会の立て看板の下書きができたよ。はい!」
 実緒は二つ折りしたA4用紙を広げる。
「わぁ~すごい! これがわたし!? か、かっこいい~!」
 「総合祭のライブを参考にしたの」と実緒は言った。ステージでマイクを両手で持って力強く歌っているのがネオ。右上にエレキギターのヘッドを真上にして豪快に弾いているのが未知流。左でクールに器用な指使いでエレキベースを弾いているのが巧。そして、右上には白いバンダナを巻いて、ドラムの中央でスティックを持って決めポーズしている絢都。彼らの個性を引き出した絵となっている。
 ネオは目を黄金に輝かせながら絵を見つめる。
「ありがとう実緒! これで、夏休みに作ってくれたものをポスターにすれば、確実に新入部員も入ってくるわ!」
「ふふ、どういたしまして」
 満足気なネオに、実緒は微笑む。
 そこに、
「おっ! 何見てんの?」
 横から小倉優太(おぐらゆうた)がネオの持っている紙を奪い取る。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ