moonlight(後編)
「武藤君……」
実緒は泣いている武藤の顔を包み込むように抱きしめる。
「だったら、私が友達になるわ。ネオちゃんや長郷さんのように、私がなる! 作風が違っても、同じ絵という表現で『夢』を目指す友人として……ね」
実緒は、首を左に傾け、ね! と笑顔で見つめる。
「竹下、さん……」
武藤は、実緒の胸でしばらくの間泣き続けた。今まで受けた彼の心の傷を、実緒は癒した。
それから彼は、先生たちに警察のような事情聴取を受けた。自分の言葉で、誤魔化すこともなく、素直にすべてを話した
それを基に生活指導課の先生と担任、校長の話し合いの結果、彼は一か月間の停止処分と部活の退部を言い渡されたが、「それだけはやめてください!」という実緒の申し出により、退部は免れた。
そのことについて心配したネオは、家に帰った後、携帯で、
「今回のことで改心してくれるならいいけど……またいつあんな態度をとるか……」
と心配するが、
「大丈夫。私は、ネオちゃんみたいに……彼ともそういう関係でいたいから、先生に頼んだの。一人減るのは淋しいことだし、もし、彼と私、美術部に何かあったらネオちゃんがいるから、ね!」
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ