moonlight(後編)
「おわっ!」
ネオは左隣にいる優太に驚く。
「な、なんであんたがここにいるのよ!」
「そりゃあ、隣でまじまじと見ているからだろ。へーこれ、竹下さんが描いたの?」
優太は実緒を見つめる。
「うん。そうだよー」
「へ~すげぇ……こんなかっこいいのも描けるんだ」
「そうよ! 実緒はなんでも描けるんだから!」
自分のことではないのに、威張って見せるネオ。
「おまえが威張ってどーすんだよ。……こんなの見ると、おれも竹下さんのファンになっちゃいそうだなぁ~」
「ふぁ、ファン!?」
ネオが急に高い声を上げる。
クラスメイトも一瞬、ネオを見る。
「ん? なんで急に大声をあげるんだ? つーか、何顔を赤くしてんだよ」
不思議そうな表情でネオを見つめる。
その顔がネオの顔をもみじのように真っ赤にさせた。
なぜなら、
『わたしは優太が好き――――――っ!!』
……総合祭での悪夢が蘇るからだ。
「う、う、うるさーい!! どーでもいいでしょ!」
返して! と奪い返す。
「な、何なんだよ……」と言いながら、優太は自分の席に座った。
「まったく! なにがファンよ!」
と小声でつぶやき、すぐさま隣の席で友達と話している優太に目を細めた。
「ネオちゃん……まさか小倉君のことを……」
「ち、違う! 絶対に、ぜぇーたいに違うからね!」
くすくすと笑う実緒に、必死の全否定をするネオであった。
ホームルーム。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ