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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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「やめろ……やめろ……」
「『夢』だってねぇ、現実とぶつかるわよ! だけどね、突き付けられたそれに向き合い、乗り越えた先に、願いは叶うんだよ! 人間関係もそれと一緒で、勇気を出すことも時には必要なのよ! なのに、逃避行して自分以外の存在を否定して、威張って何になるのよ!? 言いたいことがあるなら言いなさいよ!!」
「うるさい!!」
 鋭い罵声が教室と廊下に響く。未知流は辺りを見回すが、幸い学生は誰もいなかった。
「しょうがないだろ! それ以外に……方法がなかったんだ……! 人と向き合うことが!」
 武藤の目から涙が溢れる。
「そうするしか、なかったんだ。小、中のときに、いじめられ、絵を描いていることをバカにされて……そんな絵が他人に認められて嬉しかった! 部員にも称えられて……だけど、竹下が賞をとってからは、部員の注目が変わって……俺は、居場所がほしかったのに……」
「だから、実緒に自分と同じような目に遭わせようとでもいうの!? それこそ、虚しいだけじゃない! 他人にも同様に傷つけさせる権利なんてどこにもないわ! 居場所がほしいなら、自分から言い、」
「ネオちゃん、これ以上はやめて!」
 未知流ではなく、実緒が止める。
「実緒」
「これ以上は……ダメ」
 実緒は身体を震わせながらも、力強い目でネオを見つめる。
「武藤君」
 実緒は、武藤の前に座り込む。
「ごめんね。貴方の気持ちを分かってあげなくて……わたしもそうだよね。いつも大人しくて、本当は話したいのに、勇気がなくて。だから、ネオちゃんが話しかけてくれたことが何よりうれしかった。でも、何も言わなかったら意味がないよね。私は今回の事で、勇気を出すことの大切さを学んだ。良いことも、面白いことも、そしてつらいことも――友達がすぐ後ろにいたことを。だから、こうして踏み出せた」
「そうかよ。だったら……何もいない俺は……俺は……
 床をドンと強く叩き、
「どうすればいいんだよ!!」
 涙でぐしゃぐしゃになった顔で、実緒を見つめる。
 その顔を見て、あたしが想像できないほど、辛かったんだなと未知流は思った。自分のことのほうがよほど小さく見える。彼の後ろにいるネオも、おそらく同じ気持ちであるに違いない。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ