moonlight(後編)
エピローグ
朝のホームルーム前。
「ネオちゃん!」
二年一組の教室で、廊下側から二列目の一番後ろの席に座ったネオは、声を掛けられる。
「おはよっ、みおっち!」
みおっち――実緒に挨拶をかわす。
あれから二週間が経過した。
総合祭が終わった直後、実緒はホームルームには出席せずに自分の身に何があったのか、学年主任の先生に事のすべてを正直に話した。
そして、翌日の昼休み。
「は、離せよ!」
「いいから入れ!」
ガラガラ、と武藤は担任の男性教師に、職員校舎二階にある、ちょうど学生校舎をつなぐ廊下を真っ直ぐ行ったところにある生活指導室へ連れてこられた。
するとそこには、
「!」
武藤は目を疑った。
正面には学生主任を始めとする、二年生を担当している先生四名が机を挟んで座っており、加えて、
「やあ、武藤、『くん』」
不自然にくん付けして、笑顔の裏には怒りが込み上がっているネオが、左側に立っている。
「麻倉……これはどういうことだ……?」
眉間にしわを寄せて、ネオを鋭く睨み付ける。だから何? そんな顔をして無駄よ? と思わせるような涼しげな顔でネオは、
「見ての通りよ。あんたにはきっちり罰を受けてもらおうっていうことよ」
「罰だと? 笑わせてくれる。あの件については、」
「果たして、そういう態度がいつまで保つと思う?」
「何?」
余裕の表情をとるネオに、歩み寄ろうとしたその時、ガラガラと武藤の背後にあるドアが再び開き、
「む、武藤君……」
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ