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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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もう! と未知流が割って入ろうとするが、
「みんなーっ!」
「!」
 文化祭実行委員長である大山茜(おおやまあかね)がやってくる。
「あっ、なんかぁ、タイミングが悪かった?」
 二人の睨み合いを目の当たりにして、アカネは慄(おのの)く。
 ネオと絢都は彼女の顔を見て、硬直する。
「い、いえ、全然!」
 未知流はそういうと、ネオの背中を叩き、
「そ、そうね! みんな! 整列!」
 サッ! と靴を履いて、先輩と同じ目線になり、綺麗に横に並ぶ。
「ははは……そう固くならなくてもいいのに」
「いやいや、アカネさんには頭が上がりませんよ。この度は本当にありがとうございました」
 メンバーを代表して礼をするネオ。
「いやいや、こちらこそ最高のライブをありがとう。それで、ちょっとお客様を呼んだんだけど……」
「お客様?」
「うん。竹下さーん!」
「実緒!?」
 アカネが呼んだ名前に、ネオたちは仰天した。
 アカネが向いている方向――校舎の角から現れる。
 ブレザーとスカートを正しく着た、見覚えのある彼女――竹下実緒が恐る恐るこちらに来る。
 久しぶりのネオに、
「ね、ネオ、ちゃん……」
 身体を震わせながら、ネオの顔を見上げる。
 そんなネオに、
「なーに怯えてんのよ、実緒!」
 気負うことなく彼女を見つめるネオ。
「わたしの曲、聴いてくれた?」
「うん。すっごく、良かった……」
「よかった。書いた甲斐があったよ」
 ネオは実緒に微笑む。
「ネオちゃん……わたし、わたし……」
 実緒の瞳から大粒の涙が溢れる。
「謝り、たくて……」
 うっ……ううっ……。
 ネオはそんな実緒を優しく抱きしめて、
「なんで謝る必要があるのよ。ありがとう、来てくれて」
「ネオ……!」
 ネオの胸の中で、実緒は子供のような泣き声をあげた。それは悲しい涙ではなく、嬉し涙であった。
 「ごめんね……ごめんね……」と実緒は言い続けた。
 ネオは優しく頭を擦ってあげた。
 これでもう大丈夫。
 一緒に、『夢』に向かって頑張ろう。

 抱き合う二人を、未知流と絢都と巧、そしてアカネは微笑んだ。

 抱き合う二人を満月が優しく照らした。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ