moonlight(後編)
「「「「かんぱーい!!」」」」
ホームルーム終了後。
太陽が沈みかけ、星や満月がうっすらと見える中、四人はプレハブ小屋でドリンクをコツンと当て、ささやかな飲み会をしていた(もちろん、学生服に着替えている)。
ライブは大盛況のうちに終わった。
四人は各クラスで、「楽しかったよ」「いいライブだったぜ!」「あの曲良かったぜ」など、クラスメイトから賞賛の言葉をもらい、喜びを噛みしめた。
自分たちのライブという『瞬間』を、彼らの胸中に刻まれていることに。
「あっという間だったね……」
夕日を見ながら座っているネオがポツリと呟く。
「うん。だけど、楽しかったね」
ネオの呟きに、右隣にいる未知流が答え、
「そうっスね。最高だったス」
「はい」
絢都と巧が続く。
彼女たちは達成感で溢れた顔つきだった。どんな風に楽しかったと聞かれても具体的な理由などない。ただただ、あのステージが楽しかったのだ。
こんな異例な部活に『特別枠』としてバックアップしてくれた、生徒会と総合祭実行委員会には感謝しないといけないなとネオは思った。
そして、自分についてきてくれた三人にも。
実緒の件から今日にかけてネオは、自分の背中にはこの三人やクラスメイトの友達、ライブを見に来てくれる人たち、家族など、力になってくれる人が背中にたくさんいるという自分に改めて気づくことができた。
自分もこの『瞬間』を忘れてはいけない、いや、忘れることのできないものとなった。
これからも自分と自分を支えてくれる人を大事にしながら、歌手と言う夢に向かって強く生きていこうとネオは思った。頼れる仲間がいるのだから。
「……それにしても……巧。おまえ、女子たちにサインを求められていたよな……」
絢都はじろり、と巧を見つめる。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ