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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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『冷たい夜に キミの名を呼んだ
 その声は閃光のように かき消された

 こんなにも想っているのに 何で遠ざけるの?
 ねぇ 教えてよ!
 わたしのナニがイケナイの……

 月の光の中で 私は見ているわ
 背中からキミを包み込んで
 一緒に行きたい わたしの『勇気』を与えたい
 「側にいたい」と叫んでいる

 雨降る夜に キミの涙が映った
 黒く塗りつぶされて 涙があふれた

 この雫を照らしたい キミを輝かせたい
 ねぇ 教えてよ!
 わたしにデキルコトを……

 キミの手を わたしが掴むわ
 「いつも側にいるから」
 振り返れば いつもここに立っている
 キミの力になりたいから』

 ネオからの、胸に痛いほど伝わる自分への気持ち。
 実緒の胸にぽっかりと開いた孔に、ネオから貰った、金色にキラキラと輝く月の雫で埋めつくされる。自然と涙が零れる。
 間奏に流れるエレキギター、エレキベース、ドラムの優しい音色が、自分を闇から引きずり出していく。
 そして、ネオが実緒の手を――

『その手を掴んだ瞬間 扉が開いた
 一緒に行こう
 わたしたちはひとりじゃない
 もう 怖いものはないよ』

 涙で濡れた瞳を輝かせて、力強く――

『キミの手を わたしが掴むわ
 「ここにいるから」
 振り返れば いつも叫んでいる
 キミの名前を

 あの月の光の中で

 見守っているから……』

 歌にのせて、実緒の手を強く掴み、光の世界へと連れ出した。
 ネオは涙を見せながら、精一杯の笑顔を作る。そしてメンバー全員で、聴いてくれた観客に一礼した。
 学生や大人たちの心に響いたのか、彼女たちが舞台から降りるまでの間、会場は暖かい拍手に包まれた。
 そして、実緒は学生たちの後ろで泣き続けた。
 それは黒ではなく、純白の涙だった……。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ