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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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 そして、時間はあっという間に過ぎていき、
「えー、楽しい時間も残念ながらね、これが最後の曲になって、」
「ええ――――――――――っ!?」
 ライブではつきものの、残念がる観客たちの声。
「もう時間がないんだぁー、次のプログラムがあるからねぇ……」
 ネオは残念そうな声音で観客に答える。
 「嫌だ――――――っ!!」「まだやって――――――!!」という声が聞こえる度に、ネオに笑みがこぼれる。諦めずにバンドをやってよかったと思える。
「それじゃあ……最後にふさわしく、とびっきりちょ――――――ういい曲を歌うからさぁ、それでいい?」
 とネオは観客に訊ねる。
 「いいよ――――――っ!!」と女子学生の声、「やれやれ――――――っ!!」と男子生徒の声。
 『あの曲』を歌う準備は整った。
 しかし。
 この舞台の『主役』がまだいない。ネオの想いが詰まった歌を捧げる唯一無二の親友。
 そう、彼女が……。
 ――実緒。



 朝と放課後に学生が行き交う下駄箱前の階段で、総合祭実行委員長の大山茜(おおやまあかね)がブレザーを膝にかけて座っている。
「はぁ~」
 雲一つない青空の陽気に似合わないため息が漏れる。
 ここに座って、かれこれ1時間弱が経過。
 そろそろ彼女たちのライブが終わる頃だ。
「待ち人来ず、って感じだな」
「ハヤト」
 下駄箱の方から、夏服姿の片平隼人(かたひらはやと)がアクエリアス(ペットボトル)を持って、彼女の下へとやってくる。
「ほい」
「あ、ありがとう」
 アクエリアスを渡し、アカネの左隣に座る。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ