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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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 その声に、絢都はすがすがしい表情で、
「この楽園、楽しんでいただけたかな?」
 左目をウインクし、左手の指で銃を作り、観客に向かってパキューン! とギザなポーズをとる。
 その姿に男子たちは、「いいそ――――――っ!!!!」や「ナルシスト――――――!!!!」と賞賛(?)が、逆に女子生徒からは「キモ――――――い!!!!」とか、「こんのナル男―――――――っ!!!!」とか言われ放題だった。
 ナル男発言した女子学生たちに向かって「その名で言うな!」とツッコミながらも、満足気な表情でネオと席を交代する。この舞台でアニソンが歌えたことが、相当嬉しかったのだろう。
「あとは頼みましたよ、リーダー」
「当然!」
 小声で絢都とやり取りをして、ネオは再び観客の前へと立つ。
「えー、ナル男よりわたしの歌声をもっともっと聴きたい人――――――?」
 耳に手を当て、観客の声を確認する。
 ネオの質問に、ウワアアアアアア――――――――!! と講堂中に声を響かせ、ネオに答える。
「聴きたいか――――――!!」
「聴きたい――――――!!」
「オッケー!! それじゃあ、景気よくいくわよぉ――――――!!!!」
 ギュイイイイイイ――――――ン!!
 再び未知流のエレキギターから、頭を狂わせるほどの大音響が講堂全体に響く! まるで彼らの脳内にある、ぐちゃぐちゃに渦巻いているたっくさんの悩みを、音に変換して絶叫しているかのようだ。
「まずはこれからぁ――っ! わたしが一番やりたかった曲、Every Little Thingの『JUMP』!!」
 ネオの叫びと共に、講堂が震動した!
 未知流の重厚なギターの響き、絢都のドラムさばき、そして、間奏のときに、
「かっこいい――――――!!」
 と女子学生から言われながらも、未知流と一緒に前へと出て、楽しそうに曲を引き立て、自分のエレキベースのテクを見せつける巧。今日もエンジン全開だ。そして、リーダーであるネオの歌唱力。
 曲が終わるたびに拍手喝采、歓声が轟く!
 その大波に乗るかのように、自分たちのボルテージも高くなる! 自分たちの音楽で!
 まさにネオが望む『自分たちと観客がこの瞬間だけ一つになる』ステージへと登りつめていった。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ