moonlight(後編)
もはや歓声が「WAAAAAAAAAA!!」に変わるくらいの臨場感へと増す! 「はやく聞かせろ!」というギャラリーたちの思いがひしひしと伝わってくる!
「いっくぜぇ――――っ!!」
ギュイイイイイイ――――――ン!!!!!
未知流のハードなギター音が鳴り響き、
そして、絢都のドラムが、
ドドドドドドッ!!
と唸り、
ギュギュギュッ!!
と巧のベース音が、それらの音を引き立たせる!
――総合祭最大の宴が、開幕した!
彼女たちに送る歓声とリズムに合わせた拍手が鳴りやまぬ中、次々と歌いこなすmoment's。オリジナルの曲もあるが、中心となる楽曲はプロのアーティストで、お気に入りの曲を歌うコピバンなわけだが、ネオは彼らに匹敵するくらいの歌唱力で歌いこなす。
「みぃせ、つづぅ、ける、ことがモット―――!!」
と、表現力豊かな人気若手シンガー、阿部真央の『モットー』を歌えば、
「時間が経ってぇ、色褪せたぁってー」
miwaの『441』をハスキーボイスで力強く歌い、観客たちの心に『この瞬間』を刻んでいく。
自分たちが決めた選曲を順調に歌い上げる。
そして、
「じゃあここで一旦、おふざけターイム!!」
謎のコーナーの始まりに、観客たちは響(どよめ)く。
「どーしても、この舞台で自分のキャラをさらけ出したいというメンバーがいるので、くぁわりに歌ってもらうわよーっ!! なるお――――――っ!!」
「うおぉぉおおいっ!?」
予(あらかじ)め決めていた演出ではないが、奥のドラムがある場所から、某有名お笑い芸人事務所が劇場でやっている舞台ばりのズッコケをなるお……いや、ナル男こと野上絢都が披露する。
その演技に、開場はぶわっ! と笑いが巻き起こる。
自分のことを『ナル男』と言われたのが気に障ったのか、顔を赤くしながら大股開きでネオの下へと行き、
「本番中にそれを言わないで下さいよっ!」
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ