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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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「さあ! みなさん、たい! へん! 長らくお待たせしましたぁ! いよいよ、いよいよ、彼女たちのご登場です! 去年は女子学生デュオとして、学校中を騒がしていた二人が、今年は一年生部員を加え、生徒会と実行委員直々のオファーで参加が決定したこのバンド! 前へ踏み出す瞬間を、彼女たちとここで刻もうじゃないかあああああああああっ!!!!」
 司会進行役である総合祭実行委員長アカネと同じクラスである、片平隼人(かたひらはやと)の全力のハイトーンシャウトに、「わ――――――っ!!」と彼女たちを見に来た大勢の者がハイテンションな声をあげる。まるで講堂がライブハウスになったみたいだ。
「それでは、呼ぶぜえぇぇぇぇ!! 岩国総合を揺るがせた四人組公認ロックバンド!! モウメ――――――――――ンツ!!!!」
「ゥワ――――――――ッ!!」
 顔を赤くしながら、ステージから出ていくハヤトとは対照的に、堂々と実行委員がセットしたステージへと向かう。自分たちのポジションへと移動し、未知流と巧はあらかじめ置かれているそれぞれの愛用の楽器を手に取る。そして、アンプから流れる音を確かめ、調整する。
 ネオは自分たちを見に来てくれて学生たちを見つめた。衣替えの期間だからか、夏服とブレザーを着た学生が混ざり合っている。
 学年の枠を超え、彼らに興味を示してくれた彼らの声や大人たちの拍手が止まらない。「ネオーっ!」、「みっちぃーっ!」と彼女たちを知る友達の大声や「ケンーっ!」、「タクー」という一年男子や、「野上ーっ!」、「伊藤、カッコイイーっ!!」という一年女子の声援が絢都と巧に飛び交う。
 そして、センターにいるネオは、左下で、
「ねおっちーっ!」
 と気さくに呼ぶ、クラスメイトであり、小学生からの長い付き合いである小倉優太(おぐらゆうた)と目が合う。
「!」
 午前中にあったあの屈辱的な事が蘇る。顔が赤く変色しかけるが、気づかれないように横に振り、持ち堪える。今は、ライブに集中しなくては! 平常心、平常心。
 とにもかくにも、ステージは完全にネオたちに支配された。
 さあ、開演だ!
 ネオは後ろにいる三人とアイコンタクトで確認し、ここいる者たちに叫ぶ。
「こんにちはーっ! 初めましてーっ! そして学生のみんなは久しぶりーっ! 軽音楽同好会バンド――『moment's』だぁっ、ぜぇぇ――――――いっ!!!!」
 歓声のボルテージがさらに高まる。そんな空気に、ネオの声も一体化する。
「わたしたちが目標としていたこの舞台のために、選(よ)りすぐりの楽曲を用意してきたよぉーっ!! 今しかないこの『瞬間』を、高校生活の思い出に刻んでやるからなぁー、耳かっぽじって遅れずに、ついてこいよぉ――――――っ!!!!」
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ