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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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「アカネさん! 例の件、お願いしますね」
「まっかしといてー!」
 アカネはネオに手を振りながら、勝手口からでていった。
 総合祭。
 学生主体で、日頃の成果の展示や催し者を出して、学生はもちろん、保護者や地域の方々を楽しませる、学校の一大イベントの一つ。
 三年生は調理室を使って料理を販売しており、二年生や一年生は出し物を行っていた。中には、生徒会と実行委員会の許可を得て、視聴覚室でお笑いをしている学生や、部活でイベントを開いており、午前中から大賑わいだった。
 ネオのクラスである二年一組では、教室をすごろくに見立てて作り上げた出し物、『サイコロ☆あどべんちゃー』をやっており、彼女は午前中、その運営当番をやっていた。
 大人から子供までが楽しめる出し物であったためか、色々な世代の方が楽しんでくれた。
 お客さんがしばらく来ないときは、運営しているメンバーで勝負をしていたのだが、『誰が好きか教壇で叫ぶべし!』とかいう、突拍子もないマスに止まってしまい、おかげで誰が好きか(もちろん実緒ではない)を無理矢理言うはめになってしまった。そのことは三人には内緒だが。
 そんなこんなでネオは楽しくやっていたが、一人足りない。
 その件について、
「竹下さん、ほんとどうしたのかなぁ?」と女子学生。
「そうだよな。何があったんだろ?」と男子学生。
 午前中に運営当番になった実緒のことを、クラスメイトのみんなが気にかけている。
 その声を聞いて、ネオはすごく嬉しかった。
 実緒には、帰る場所があることを。自分を始めとするクラスメイトの何人かは、彼女のことを待っていることを。
 ――それを……今日、伝えてやるんだ!
 やってやる!
 ネオは、責任重大だと感じ、気の引き締まる思いで講堂のステージを見つづけた。
 先にジャズ演奏をやった、三人の先生のインタビューもあと少しで終わる。
 それを余所に、moment'sのタイムシフトが近づくにつれ、ステージ裏からでもはっきりと聞こえるくらい、学生たちの人数や大人や子供のざわつきが大きくなっている。学校でのライブやフェスに参加した結果なのかもしれない。
 ガチャ! と講堂内を偵察した絢都と巧が戻ってくる。
「人がものすごく集まってきましたよ……」
 絢都がネオたちに報告する。
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ