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永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
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moonlight(後編)

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『実緒へ

 お元気ですか。うーん、『ですか』っていうのはやっぱり気恥ずかしいなあ。……普通に、わたしなりの文章で書くね。てへへ(笑)。
 最近はどう? 元気でやってる? 実緒が元気でやっているのか、すごく、すごーく、心配だよ。あの雨の日からずっと考えているんだよ!
 あの日は本当にショックだった。なんで? そりゃあ、実緒に、親友に拒絶されちゃったから。こんなこと小学生の頃に続いて二度目だよ。
 何度も言うけど、ホントに……本当にショックだった。悔しかった。あのゴミ武藤と同じにされたことが。
 わたしは……わたしは、実緒のことは本当にバカになんてしていない! これだけは事実! みっちぃ(長郷さんのことね!)だって、ナル男やタックン(一年生二人ね!)だって、すごいと言ってくれたんだよ。本当なんだから!
 助けたかったんだよ! だから、実緒の家まで、猛ダッシュで来たんだよ! 同じように夢に向かう親友の道を、閉ざさないためにも! どんなことがあっても、わたしだけは実緒の味方だって言いたかったんだよ!!
 でも……手をとれなかった。傷つけられていた実緒の心の限界に気づいてやれることができなかった。親友として最低だね、わたし。
 ごめん。本当に……ごめん。
 部活に行く前の実緒の暗くなった顔に気づいていたけど、それを気づかないふりをして、本当に、ごめんね。
 だから……聞いてほしいものがあるの!
 わたしの気持ちを実緒に届けたい!
 今の実緒には、不器用なわたしの言葉だと余計に傷つけてしまいそうだから、歌に込めたの。わたしが気づいたように、実緒にも『一人じゃない!』っていうのを! 傷つけられても、わたしやmoment'sのメンバーが味方だってことを! わたしたちがいつも背中から見守っているってことを!
 だから、怖いかもしれないけど……学校に来て! 『騙された!』と思って来て! わたしたち――わたしが、実緒のために用意した新曲を届けるから!
 今日の総合祭――13時から1時間半、わたしたちのライブがあるから、最後の曲までには……来てね。必ずよ!
 めちゃくちゃな文章になっちゃったけど、これがわたしの本心だから。この想いだけは、変わらないから!
 だから……待ってるよ!
                             あんたの親友より』
作品名:moonlight(後編) 作家名:永山あゆむ