漢字一文字の旅 二巻 第一章より
十の四 【銀】
【銀】はかって白金と言われ、銅は赤金。
古くから金銀銅は金三品と言われた。
【銀】は原子記号「Ag」の金属、古くから金とともに通貨や装飾として使用されてきた。
そして金には…「沈黙は金なり」…という格言がある。
実はもう一つのフレーズがその前にあるのだ。
それは…「雄弁は銀なり」
つまり「雄弁は銀なり、沈黙金なり」 (Speech is silver、silence is golden)
現代人は後ろの「沈黙は金」しか口にしないが、この二つのフレーズで完璧ということだ。
しかし、ここで迷ってしまう。
「雄弁は銀」と「沈黙は金」、どちらが重要なのだろうか? と。
実は、かって金は自然に採れたが、銀は圧倒的に少なく稀だった。
また銀鉱石から銀を抽出する精錬法は難しく、銀の方が希少価値があり、値打ちだった。
したがって、この勝負、【銀】の勝ちなのだ。
ということで、沈黙より雄弁の方が上位となる。
これで大阪のオバチャンたちの魂は救われることになる。
とにかく雄弁で、起承転結。
あめ玉一つで落ちまで付けて、それはまさに【銀】のしゃべくりだ。
とにかく【銀】、値打ちがあって、結構大阪のオバチャン風の五月蠅い漢字なのだ。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊