漢字一文字の旅 二巻 第一章より
九の二 【若】
【若】は象形文字。
巫女が長い髪をなびかせて、両手を挙げて舞い、神のお告げを求めている姿だとか。
うーん、なるほどとなるが、さらに具体的に、草冠が挙げた両手の形。
そして神が乗り移り、巫女がうっとりした状態にあるのが【若】ということらしい。
神がかってるというか、むしろ色気がある漢字だ。
しかし、こんな【若】、読み方はいろいろある。
音読みは(ニャク、ニャ、ジャク、ジャ)、例としては「老若男女」、「般若」、「泰然自若」、「若干」がある。
そして訓読みでは、(わかい)に(もし)。
もし天気が晴れたら……、この(もし)が「若し」なのだ。
なぜ(もし)が「若し」なのか、この仮定の(もし)に【若】の漢字が充てられたのか調べてみたがよくわからない。
ならば電話で「もしもし」、これは「若し若し」と書くかなと思ったが、これは「申す申す」から来ているとか。
とにかく【若】、やっぱり神がかっているように思えてくる神秘がある。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊