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漢字一文字の旅  二巻  第一章より

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九の一  【準】



【準】、元来水平を測る器のことだとか。
ここから「平準」、平らな意味になったようだ。
そして「標準」、「準則」、「準拠」の述語が生まれた。

訓読みでは準(なぞら)えると読み、goo辞書では「ある物事を類似のものと比較して、仮にそれとみなす」とある。

また「準XX」とあり、「XX」に次ぐものを表す。
例えば、準一級に準決勝、さらに重ねて【準々】決勝。
もうなんでも【準】だ。

果ては【準】チョコレート。
元々チョコレートはカカオ分が35%以上のもの。
そして妥協したとしても、チョコレートを全重量の60%以上使用した加工品。
これに次ぐものが【準】チョコレート。
チョコレート以外で、カカオ分が15%以上となる。

こんな分類だけでもややこしいのに、事はそう簡単ではない。
「チョコレート菓子」という分類があるのだ。
これはチョコレートが全重量の60%未満だとか。

そしてここにも【準】の付け放題、【準】チョコレート菓子という分野がある。
これは【準】チョコレートが全重量の60%未満だとか。
いわゆる【準々】チョコレートということのようだ。

さて、ここでクエスチョン。
ポッキーは、な〜に?

チョコレートでないことだけは確かだ。
種類が数多とあるポッキー。
答えは……、実はそれがよくわからないのだ。

【準】チョコレート、チョコレート菓子、【準】チョコレート菓子のいずれかの表示があったらまだましな方。たいがいは無表示。
どうも【準々々々々】チョコレート菓子のようなものもあるようだ。
いわゆる、限りなく……単なる菓子となる。

事ほど左様に、【準】という漢字、【準々々々々】と、どこまでも準(なぞら)えてしまうのだ。