漢字一文字の旅 二巻 第一章より
八の六 【七】
【七】は切断された骨の形。これに「刀」が付いて「切る」になったとか。
数の「ななつ」の意味になったのは、その音(シチ)が借りられたからだと。
【五】は木を斜めに交叉させて作った器、その二重蓋の形。これも音の(ゴ)が借りられてきている。
そして【八】は、左右にものが分かれた形。
数を数えるために算木というものがあった。これは音ではなく、【八】はその形で「やつ」を表したそうな。
いずれにしても漢数字、いろいろといきさつがあるようだ。
こんな漢数字を集めた物語、それが一六八六年に発刊された井原西鶴の「好色五人女」。
その四巻に『恋草からげし八百屋物語』がある。
「恋草」(こいぐさ)とは恋の思いが激しく燃え上がるようす。
そして「からげし」は京言葉で「消し炭」のこと。
つまり恋に燃え上がって消し炭になった、あるいは消し炭が再び燃え上がってしまった。
物語はどちらでも取れる内容で、一般的に「八百屋お七」と言われている。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊